「資料を送付させていただきます」
「こちらで確認させていただきました」
「明日はお休みさせていただきます」
ビジネスメールや会話でよく耳にする「させていただく」。
丁寧な表現のはずなのに、何度も続くと「なんとなくくどい」「少し違和感がある」と感じることもあります。
では、「させていただく」は間違った敬語なのでしょうか。
結論からいうと、「させていただく」自体が間違いというわけではありません。
ただし、どんな場面でも付ければ丁寧になる表現ではなく、必要のない場面まで多用すると、不自然で回りくどい印象になりやすくなります。
この記事では、
- 「させていただく」の意味
- どんな場面なら自然なのか
- なぜ使いすぎると違和感が出るのか
- 不自然になりやすい例
- 「いたします」などへの言い換え方
をわかりやすく解説します。
「させていただく」は間違った敬語?
「させていただく」は、それ自体が間違った日本語というわけではありません。
「させてもらう」を丁寧に表した言い方で、相手への配慮を示しながら、自分が何かをする場合に使われます。
ただし問題になるのは、
本来それほど必要ではない場面でも、丁寧に聞こえるという理由だけで使ってしまうこと
です。
例えば、一つの文章の中で、
「本日はお時間をいただかせていただき、貴重なお話を聞かせていただき、勉強させていただきました」
と「させていただく」が何度も続くと、丁寧というより、くどい印象になります。
この場合は、
「本日はお時間をいただき、貴重なお話を伺うことができました。大変勉強になりました」
とした方が、すっきり自然です。
「させていただく」の本来の意味
「させていただく」を使う場面を考えるときは、
相手の許可や配慮が関係しているか
そのことによって自分が何らかの恩恵を受けるか
という2点が一つの目安になります。
例えば、
「ご承諾いただきましたので、担当させていただきます」
であれば、相手の承諾を受けて自分が担当するため、「させていただく」が比較的自然です。
一方で、自分の通常業務を単に報告しているだけなら、「させていただく」を使わなくても十分丁寧に表現できます。
なぜ「させていただく」の使いすぎに違和感が出るの?
「させていただく」が多用される大きな理由の一つは、
できるだけ失礼のない言い方をしたい
という気持ちです。
「します」より「させていただきます」の方が丁寧に感じられるため、
- 失礼だと思われたくない
- 相手に角を立てたくない
- ビジネスでは丁寧にしておきたい
という場面で使われやすくなります。
しかし、丁寧な表現は長くすればよいわけではありません。
本来必要のないところまで「させていただく」を付けると、
- くどく感じる
- 何を伝えたいのかわかりにくくなる
- 過剰にへりくだっているように聞こえる
- 定型文のようで気持ちが伝わりにくい
といった違和感につながります。
「させていただく」が不自然になりやすい3つのパターン
1.自分の通常業務を伝えるだけの場合
例えば、
「資料を確認させていただきました」
という表現です。
確認することが通常の業務で、特別に相手の許可を受けて行ったわけではないなら、
「資料を確認しました」
で十分です。
より丁寧にするなら、
「資料を確認いたしました」
でもよいでしょう。
2.単にこれから行うことを伝える場合
「こちらで対応させていただきます」
もよく使われる表現です。
もちろん文脈によっては自然ですが、単に担当者として対応することを知らせるだけなら、
「こちらで対応いたします」
とすれば十分丁寧です。
「させていただく」を外したからといって、失礼になるわけではありません。
3.事実を報告するだけの場合
例えば、
「本日は出社させていただいております」
という言い方です。
特別に出社の許可を受けたという文脈でなければ、
「本日は出社しております」
の方が自然です。
「させていただく」が必要か迷ったときは、
普通に「します」「いたします」「しております」で言えないか
を考えてみると判断しやすくなります。
「いただかせていただく」は特に注意
「させていただく」を丁寧にしようとして、さらに表現を重ねてしまうことがあります。
例えば、
「本日はお時間をいただかせていただき、ありがとうございます」
という文章です。
この場合、
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
で十分です。
「いただく」がすでに入っているところに、さらに「させていただく」を重ねると、文章が必要以上に長くなります。
敬語では、
丁寧な言葉をたくさん重ねること=より丁寧
とは限りません。
「させていただく」を使っても自然な例
一方で、「させていただく」が自然な場面もあります。
例えば、
「ご承諾いただきましたので、私が担当させていただきます」
「お時間をいただき、説明させていただきます」
などです。
相手の承諾や配慮があり、そのうえで自分が何かを行うという関係がはっきりしていれば、「させていただく」の意味が自然に伝わります。
重要なのは、
「丁寧だから使う」のではなく、文脈に合っているから使う
ということです。
「させていただく」を使うか迷ったときのチェックポイント
迷ったら、次の点を確認してみましょう。
相手の許可や承諾が関係している?
相手から許可をもらったうえで行うことであれば、「させていただく」が自然になる場合があります。
相手の配慮によって自分が行えること?
相手の好意や配慮があって初めてできる行為なら、「させていただく」が合いやすくなります。
「いたします」に変えても意味が変わらない?
ここは非常にわかりやすい判断方法です。
「確認させていただきます」
を
「確認いたします」
に変えても問題がないなら、後者の方が簡潔で自然な場合があります。
「させていただく」を使わない自然な言い換え例
「させていただく」を外しても、十分丁寧な文章は作れます。
確認させていただきます
↓
確認いたします
対応させていただきます
↓
対応いたします
資料を送付させていただきます
↓
資料を送付いたします
ご説明させていただきます
↓
ご説明いたします
拝見させていただきました
↓
拝見しました
「拝見」そのものにへりくだった意味が含まれているため、さらに表現を重ねなくても丁寧に伝えられます。
「させていただく」を連発するとどうなる?
一文に何度も「させていただく」が登場すると、文章が非常に読みにくくなります。
例えば、
「本日はお時間をいただかせていただき、商品について説明させていただき、最後に質問させていただきます」
よりも、
「本日はお時間をいただきありがとうございます。商品についてご説明した後、最後に質問いたします」
の方が簡潔です。
敬語で大切なのは、
丁寧さとわかりやすさの両立
です。
「させていただく」を減らした方が、かえって相手に伝わりやすいケースは少なくありません。
「させていただく」はビジネスで使わない方がいい?
使ってはいけないわけではありません。
ビジネスでも、場面に合っていれば使える表現です。
問題なのは、
すべての動詞に「させていただく」を付けてしまうこと
です。
例えば、
- 確認いたします
- 対応いたします
- ご説明いたします
- お送りします
- 拝見しました
- 伺います
など、短くても十分丁寧な敬語はたくさんあります。
「させていただく」だけに頼らず、状況に合った表現を選ぶと文章が自然になります。
よくある質問
「させていただく」は敬語として間違いですか?
間違いとは限りません。
相手の許可や配慮を受けて自分が行動する場面などでは、自然に使える表現です。
ただし、必要のない場面まで多用すると不自然に感じられることがあります。
「させていただく」は使わない方がいいのでしょうか?
完全に避ける必要はありません。
「使わない」のではなく、
必要なところだけ使う
と考えるのがおすすめです。
「いたします」と「させていただきます」はどう使い分ける?
通常の業務や、自分が行うことを丁寧に伝えるだけなら、
「いたします」
で十分な場合が多くあります。
一方、相手の許可や配慮を受けて行うという意味を表したい場合には、
「させていただきます」
が自然になることがあります。
「させていただく」を使うと失礼ですか?
表現そのものが失礼というわけではありません。
ただし、何度も繰り返したり、必要のないところまで使用したりすると、くどい印象を与える場合があります。
まとめ|「させていただく」は必要な場面だけ使おう
「させていただく」は、それ自体が間違った敬語ではありません。
ただし、
- 丁寧にしたいから何でも付ける
- 同じ文章で何度も繰り返す
- 「いたします」で十分な場面でも使う
と、不自然に感じられることがあります。
迷ったときは、
「相手の許可や配慮が関係しているか?」
そして、
「『いたします』に変えた方が自然ではないか?」
を考えてみましょう。
敬語は長ければ長いほど丁寧になるわけではありません。
相手への敬意を保ちながら、簡潔でわかりやすい言葉を選ぶことが大切です。

