「草餅」と「蓬餅(よもぎ餅)」の違い、皆さんはお分かりでしょうか?
「草餅」とは草を混ぜ込んだお餅のことを指し、一方で「蓬餅」は具体的によもぎを使ったお餅を言います。
これらは見た目が似ているため、しばしば混同されがちです。
しかし現在では、これらは事実上同じものとして扱われることが多いです。
以前は「草餅」にはよもぎ以外の草も使用されていたため、今に至るまでこの2つの名前が存在しています。
「よもぎ餅」という名前の由来となった「草餅」
これについて説明する前に、「草餅」と「よもぎ餅」の違いを明らかにすることが重要です。
邪気を祓う草を含む餅
古来より、草の香りが邪気を払うという信仰がありました。
この香り高い草を餅に混ぜて、桃の節句に食べる風習が中国から日本へ伝わり、平安時代から続いています。
桃の節句と言えば、一般的にはひな祭りと関連づけられ、ひな祭りには「菱餅」がよく用いられます。
かつては白と緑の二色で、緑色は草餅に由来していました。
元々の草餅に使われていたのはよもぎではない
現代ではよもぎが草餅に使われることが多いですが、元々は違う草が用いられていました。
例えば、「ハハコグサ(母子草)」や「ゴギョウ(御形)」は春の七草の一つで、平安時代から江戸時代にかけてはこの草が餅に練り込まれていました。
この餅は「母子餅」とも呼ばれていました。
ハハコグサの使用が不吉とされた時代
江戸時代になると、ハハコグサを使用することが縁起が悪いと考えられるようになりました。
「母子草を餅に練り込むとは、母子を潰しているようなものだ」という見方が広まったためです。
このため、ハハコグサの代わりによもぎが使われるようになり、「よもぎ餅」として親しまれるようになりました。
今ではほとんどの地域でよもぎを使用していますが、一部では依然として母子草を使う場所もあります。
「母子餅」と「よもぎ餅」の歴史と変遷
歴史を振り返ると、「草餅」として一般的だったのは以下の二種類です。
- ハハコグサを用いた「母子餅」
- よもぎを使用した「よもぎ餅」
現在、「草餅」と言えば大抵「よもぎ餅」を指しますが、かつてはこれらを明確に区別して呼んでいた時期もありました。
まとめ
時間が経つにつれ、「草餅」に使われる素材としてハハコグサよりもよもぎが色の発色が良く、多くの点で優れていると考えられるようになりました。
これは推測の域を出ませんが、よもぎを試しに餅に練り込んでみたところ、予想以上に良い結果が得られたため、それが流行し、「母子餅」が次第に排除されていった可能性があります。
もちろん、よもぎの持つ数々の効能もその普及に一役買っているのです。