空梅雨になる理由って?気象バランスが崩れる意外な仕組み | 雑学VOD(ざつがくぼっど)
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空梅雨になる理由って?気象バランスが崩れる意外な仕組み

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「今年は梅雨らしくないね」「全然雨が降らない」って感じる年、ありませんか?

梅雨なのに雨が少ない現象を「空梅雨(からつゆ)」と呼びます。

でも、なぜこんなことが起こるのでしょうか?

実は、普通の梅雨とは全く違う気象バランスが働いていたんです。

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空梅雨とは?基本的な概要

空梅雨は、梅雨の期間なのに雨がほとんど降らない現象のことです。

「照り梅雨」とも呼ばれます。

普通の梅雨なら1ヶ月で200mm以上降る雨が、空梅雨の年は100mm以下しか降らないことも。

まるで梅雨が「空っぽ」になったような状態なんですね。

でも、これって気象的にはかなり異常な状況なんです。

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なぜ空梅雨になるのか?主な理由

理由1:太平洋高気圧が「早すぎる夏モード」になる

通常の梅雨では、北のオホーツク海高気圧と南の太平洋高気圧が均等に押し合いをしています。

ところが空梅雨の年は、太平洋高気圧が異常に強くなって、早々とオホーツク海高気圧を北に押し上げてしまうんです。

つまり、梅雨前線が早めに北上して消えちゃうんですね。

「まだ6月なのに、もう夏だよ」って太平洋高気圧が勝利宣言してしまう感じです。

理由2:逆にオホーツク海高気圧が強すぎる場合

今度は逆のパターンもあります。

オホーツク海高気圧が異常に強くなって、太平洋高気圧を南に押し下げてしまう場合です。

そうすると梅雨前線が日本より南の海上に下がってしまって、日本には雨雲が来なくなります。

「梅雨はあるけど、日本の外でやってる」状態ですね。

理由3:両方の高気圧が弱すぎて前線ができない

まれに、両方の高気圧が弱すぎて、はっきりした前線ができない年もあります。

この場合は、梅雨らしい長雨にならずに、普通の春の天気が続いてしまいます。

どちらの高気圧も「やる気がない」状態で、押し合いにならないんですね。

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【地域差】空梅雨になりやすい地域がある?

北東北は空梅雨になりやすい

青森、岩手、秋田の北東北地方は、実は空梅雨になる確率がかなり高い地域なんです。

もともと梅雨前線が到達しにくい場所だからです。

しかも、晴冷型(晴れてるけど気温が低い)の空梅雨になることが多く、「梅雨なのに肌寒い」という不思議な天候になります。

瀬戸内地方も要注意

岡山、広島、香川などの瀬戸内地方も、空梅雨になりやすい地域です。

もともと雨が少ない「晴れの国」だからこそ、空梅雨の影響が深刻になりやすいんです。

九州・四国は梅雨明け早期型

九州や四国では、梅雨自体は普通にあるけど、異常に早く梅雨明けしてしまうパターンが多いです。

「短い梅雨」とでも言えるでしょうか。

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【影響】空梅雨で何が困るの?

水不足が深刻化

一番大きな問題は水不足です。

特に農業用水が足りなくなって、稲作に大きな影響が出ます。

ダムの貯水率も下がって、市民生活にも給水制限などの影響が及ぶことがあります。

2020年の関東地方では、実際に取水制限が行われました。

農作物への被害

稲作はもちろん、野菜や果物にも影響が出ます。

特に田植え直後の稲は大量の水が必要なので、空梅雨だと生育が悪くなってしまいます。

逆に、湿気を嫌う作物にとっては恵みの年になることもあるんですが…。

夏の猛暑につながりやすい

空梅雨の年は、その後の夏が異常に暑くなることが多いんです。

梅雨で大気中の水分が補給されないと、夏場の蒸発冷却効果が弱くなるからです。

「涼しい梅雨→暑い夏」より「暑い空梅雨→もっと暑い夏」の方がキツイですよね。

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【歴史】過去の有名な空梅雨

1994年の大渇水

1994年は記録的な空梅雨で、西日本を中心に深刻な水不足になりました。

四国では287日間も給水制限が続いたんです。

この年の夏も記録的な猛暑で、「空梅雨→猛暑」の典型例となりました。

2017年の九州北部

2017年は九州北部で空梅雨かと思われていたら、7月に入って突然の集中豪雨が発生。

「空梅雨からの急激な豪雨」という極端なパターンでした。

2020年の関東甲信

2020年は関東甲信地方で空梅雨となり、東京の水瓶である利根川水系のダムの貯水率が大幅に下がりました。

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世界各国ではどうなの?

中国の「乾梅雨」

中国でも似たような現象があり、「乾梅雨(カンメイユー)」と呼ばれています。

長江流域で雨が少なくなると、農業への影響が深刻になります。

韓国の「マッジャンマ」

韓国では梅雨を「장마(チャンマ)」と呼びますが、雨の少ない年は「마른장마(マッジャンマ)」と言います。

「乾いた梅雨」という意味ですね。

インドの「弱いモンスーン」

インドでは、モンスーンが弱い年に似たような現象が起こります。

ただし、規模が日本とは桁違いに大きくて、数億人に影響が及ぶこともあります。

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関連する面白い豆知識

豆知識1:空梅雨と地球温暖化の関係

地球温暖化の影響で、空梅雨が増えているという説があります。

海水温の上昇で気圧配置が変化しやすくなっているからです。

ただし、まだ研究段階で、はっきりした因果関係は分かっていません。

豆知識2:江戸時代にも空梅雨があった

古文書を調べると、江戸時代にも空梅雨の記録があります。

「五月雨降らず、田植えに困る」といった記述が残っているんです。

昔から農民を悩ませる現象だったんですね。

豆知識3:空梅雨の年は台風が多い?

空梅雨の年は、その後の台風シーズンに台風が多く発生する傾向があります。

梅雨で降らなかった分を、台風が補うような感じですね。

自然の水収支は、年間を通じてバランスを取ろうとするのかもしれません。

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【予測】空梅雨は予想できるの?

長期予報の限界

気象庁の長期予報では、「梅雨の雨量は平年並み/多い/少ない」といった予報は出しますが、「空梅雨になる」という具体的な予報は難しいとされています。

1ヶ月先の天気を正確に予測するのは、現在の技術では限界があるんです。

エルニーニョ・ラニーニャとの関係

エルニーニョ現象やラニーニャ現象と空梅雨には、ある程度の関係があることが分かっています。

でも、「必ずこうなる」というほど単純ではありません。

梅雨入り後の判断

実際には、梅雨入りしてから2〜3週間経った時点で「今年は空梅雨っぽい」と判断されることが多いです。

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【対策】空梅雨に備えるには?

個人レベルでできること

  • 節水の心がけ – 日頃からムダ遣いをしない
  • 雨水の活用 – 少ない雨でも貯めて利用
  • 園芸の工夫 – 乾燥に強い植物を選ぶ

農業での対策

  • 貯水池の確保 – 事前に水を貯めておく
  • 品種の選択 – 乾燥に強い品種への切り替え
  • 灌漑設備 – 効率的な水やりシステム

自治体の対策

  • ダムの管理 – 早めの貯水率管理
  • 取水制限 – 段階的な節水要請
  • 代替水源 – 地下水の活用など
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まとめ

空梅雨になる理由は、普通の梅雨を作る2つの高気圧のバランスが崩れることでした。

太平洋高気圧が強すぎたり、逆にオホーツク海高気圧が強すぎたり、両方が弱すぎたりすると、正常な梅雨前線ができなくなるんですね。

水不足や農作物への影響、その後の猛暑など、空梅雨は意外と深刻な問題でもあります。

でも一方で、湿気が少なくて過ごしやすいという面もあるんです。

自然現象だから完全にコントロールはできませんが、「今年は空梅雨かも」と早めに気づいて備えることはできますよね。

普通の梅雨とはまた違った、空梅雨の仕組みを理解しておくと、天気予報を見るのがもっと面白くなりますよ。

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