暑い日にふと立ち寄るサーティワンアイスクリーム。
色とりどりのフレーバーが並ぶショーケースを眺めながら、「なぜ31なんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
実はこの「31」という数字には、創業者の深い想いが込められているのです。
「毎日違うフレーバーを楽しんでほしい」という願い
サーティワンアイスクリーム(正式名称:Baskin-Robbins)は、1945年にアメリカで誕生しました。
創業者のバート・バスキンとアーヴ・ロビンスが掲げたコンセプトは、「1ヶ月31日、毎日違うフレーバーを楽しめるように」というものでした。
当時のアメリカでは、アイスクリーム店といえばバニラ、チョコレート、ストロベリーの3種類程度が一般的。
そんな中、31種類ものフレーバーを常時用意するという発想は、まさに革命的だったのです。
31フレーバーの科学的根拠
この31種類という数字は、単なる思いつきではありません。
消費者心理学の観点から見ると、選択肢が多すぎると「決定疲れ」を起こしてしまいますが、30種類前後が最も顧客満足度が高くなるという研究結果があります。
また、記憶に関する研究では、人間が一度に記憶できる項目数は7±2個とされていますが、アイスクリームのような嗜好品の場合、視覚的な要素(色や形)も記憶の手がかりとなるため、より多くの選択肢を覚えておくことができるのです。

日本での独特なマーケティング戦略
日本に上陸したのは1973年。
ここで興味深いのが、日本では「サーティワン」という呼び方が定着していることです。
本国アメリカでは「Baskin-Robbins(バスキン・ロビンス)」が正式名称で、「31」はむしろ副次的な要素でした。
なぜ日本では「サーティワン」になったのか?
- 覚えやすさ: 日本人にとって「サーティワン」は「31」という数字と直結し、覚えやすい
- 独自性: 他のアイスクリーム店との差別化を図りやすい
- 話題性: 「なぜ31なの?」という疑問が口コミを生む
実際、日本のサーティワンは本国よりも季節限定フレーバーに力を入れており、年間100種類以上のフレーバーを展開。
これは「31」というコンセプトをさらに発展させた日本独自の戦略なのです。
世界各国での呼び方の違い
面白いことに、Baskin-Robbinsは国によって呼び方が異なります:
- アメリカ: Baskin-Robbins(バスキン・ロビンス)
- 日本: サーティワンアイスクリーム
- 韓国: 配스킨라빈스31(ベスキンラビンス31)
- 中国: 芭斯罗缤(バスロビン)
これは各国の言語特性や文化に合わせたローカライゼーション戦略の表れです。
現代における「31」の意味の進化
創業から約80年が経った現在、サーティワンは世界50カ国以上に展開する巨大ブランドとなりました。
「31」という数字は今や単なるフレーバー数を超え、「豊富な選択肢」「毎日の楽しみ」を象徴するブランドアイデンティティとして機能しています。
デジタル時代の31戦略
近年では、AIを活用した顧客の好み分析により、店舗ごとに最適な31フレーバーを選定する取り組みも始まっています。
これにより、創業者の「毎日違う楽しみを」という想いが、テクノロジーの力でさらに進化しているのです。
まとめ:数字に込められた普遍的な価値
サーティワンの「31」は、単なる商品数ではなく、「選択の豊かさ」「日常の中の特別感」を提供するという、時代を超えた価値を表現していました。
創業者の「毎日違うフレーバーを楽しんでほしい」という願いは、現代でも多くの人に愛され続ける理由なのかもしれません。
次回サーティワンを訪れた際は、この「31」という数字に込められた想いを思い出してみてください。
きっと、アイスクリーム選びがより楽しくなるはずです。
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