夏祭りでかき氷を食べるとき、「イチゴ味」「メロン味」「ブルーハワイ味」って選んでいるのに、実はどれも同じ味だって聞いたことありませんか?
「えー、そんなまさか」って思うかもしれませんが、実はこれには脳の不思議な仕組みが関係していたんです。
色が変わるだけで、味も変わったように感じてしまう人間の錯覚について、詳しく見てみましょう。
かき氷のシロップとは?基本的な概要
かき氷のシロップは、砂糖を主成分とした甘い液体に、食用色素と香料を加えたものです。
一般的に販売されているかき氷シロップの多くは、基本的な甘味成分は同じで、色と香りだけが違うという構造になっているんです。
コストを抑えながら、様々な味があるように見せる食品業界の工夫とも言えますが、これが成り立つのは人間の感覚の特性を利用しているからなんですね。
なぜかき氷のシロップは同じ味に感じるのか?主な理由
理由1:視覚が味覚に与える影響
人間の味覚は、実は視覚に大きく影響されます。
赤い色を見ると「甘酸っぱいイチゴの味」、緑色を見ると「爽やかなメロンの味」を脳が自動的に連想するんです。
これは、幼い頃からの経験によって形成された条件反射のようなものなんですね。
実際に、目隠しをしてかき氷のシロップを舐めると、色の違いが分からなくなることが多いんです。
「味」として感じているものの多くが、実は色による先入観だったということなんです。
理由2:香料による微妙な違い
完全に同じ味というわけではなく、多くのシロップには微妙に違う香料が使われています。
でも、この違いはとても微細で、氷と一緒に食べると冷たさで味覚が鈍くなるため、ほとんど区別がつかなくなってしまうんです。
香料は主に嗅覚に作用するものですが、かき氷を食べるときは鼻が冷えるため、香りを感じにくくなります。
これも、味の違いを感じにくくする要因の一つなんですね。
理由3:脳の情報処理システム
人間の脳は、視覚情報を味覚情報よりも優先して処理する傾向があります。
これは進化の過程で、有毒な食べ物を色で判断することが生存に重要だったからだと考えられています。
現代でも、この機能が働いて、色の情報が味の情報を上書きしてしまうんです。
赤いシロップを見ると、脳が「これはイチゴ味だ」と判断して、実際の味よりも先入観が勝ってしまうんですね。
世界各国ではどうなの?
かき氷のようなかき氷文化は、世界各地にあります。
台湾の「剉冰(ツァオピン)」、韓国の「パッピンス」、フィリピンの「ハロハロ」など、それぞれ独特のトッピングやシロップがあるんです。
興味深いのは、これらの国でも色と味の関係は似ているということ。
赤は果物系、緑は爽やか系、青は涼し系という連想は、文化を超えて共通している部分が多いんです。
アメリカのスノーコーンも、基本的には同じような仕組み。
ただし、アメリカでは人工的なブルーやパープルの味が好まれる傾向があり、これは日本とは少し違う文化的特徴ですね。
関連する面白い豆知識
豆知識1:色と味の不思議な関係
食品業界では、色と味の関係を利用した商品開発が盛んに行われています。
例えば、オレンジ色の飲み物は柑橘系の味、紫色は葡萄系の味というように、消費者の期待に応える色付けが行われているんです。
逆に、緑色のイチゴ味ジュースや、青色のリンゴ味キャンディなど、色と味がミスマッチな商品は売れにくいことが分かっています。
人間の先入観がいかに強いかがよく分かりますね。
豆知識2:プロの味見師の技術
食品会社の味見師(テイスター)は、色に惑わされずに味を判断する訓練を受けています。
目隠しをして味見をしたり、無色透明なサンプルで味を確認したりして、純粋な味覚だけで判断する技術を身につけているんです。
彼らにとって、かき氷のシロップの微妙な違いは明確に分かるそうです。
一般の人が感じられない、わずかな香料の違いも識別できるんですね。
豆知識3:家庭での実験方法
家庭でも簡単に実験できます。違う色のかき氷シロップを用意して、目隠しをして味見してみてください。
思っているより違いが分からないことに驚くはずです。
また、同じシロップを違う色に着色して、家族や友人に食べてもらうのも面白い実験です。
色が変わるだけで、みんな違う味だと答えることが多いんですよ。
まとめ
かき氷のシロップが同じ味に感じるのは、人間の脳の情報処理システムの特性だったんですね。
視覚が味覚を支配し、色の先入観が実際の味よりも強い影響を与える。
これは、食品業界の工夫でもあり、人間の感覚の面白い特徴でもあります。
今度かき氷を食べるときは、一度目を閉じて味わってみませんか?
きっと、普段感じている「味」の多くが、実は色による錯覚だったことに気づいて、人間の感覚の不思議さを実感できるはずです。
そして、同じシロップでも色が違うだけで違う体験ができることを、もっと楽しめるようになるかもしれませんね。