家の木材がボロボロになってしまう原因として有名なシロアリ。
でも、「なんで木なんか食べるの?」って疑問に思ったことありませんか?
木って硬くて栄養もなさそうなのに、どうしてシロアリは木ばかり食べているんでしょう。
実は、シロアリの木を食べる理由には、私たちが知らない驚きの仕組みが隠されていたんです。
シロアリとは?基本的な概要
シロアリは、実はアリの仲間ではなくゴキブリの親戚なんです。
ちょっと意外ですよね。名前に「アリ」って付いているのに、分類上はゴキブリ目に属しているんですよ。
世界には約3,000種類のシロアリがいて、日本にも約20種類が生息しています。
シロアリもアリと同じように社会性昆虫で、女王、王、働きアリ、兵隊アリなどの役割分担があります。
でも、アリの働きアリが全部メスなのに対して、シロアリの働きアリは雌雄両方います。
また、アリは完全変態(卵→幼虫→さなぎ→成虫)ですが、シロアリは不完全変態(卵→幼虫→成虫)なんです。
最大の特徴は、何といっても木を主食にしていること。
地球上の生き物の中でも、木を効率よく消化できる数少ない昆虫なんですよ。
なぜシロアリは木を食べるのか?主な理由
理由1:木の甘い部分「セルロース」が大好物
シロアリが木を食べる最大の理由は、木に含まれる「セルロース」という成分を栄養源にしているからなんです。
セルロースって聞くと難しそうですが、簡単に言うと「木の甘い部分」みたいなものです。
実は、セルロースは地球上で最も多く存在する有機物で、ほぼ無限にあるんです。
でも、ほとんどの生き物はセルロースを消化できません。
人間も牛も、木を食べても栄養にはならないですよね。
ところが、シロアリは特別な仕組みでこのセルロースを糖分に変えて、エネルギーにすることができるんです。
理由2:お腹の「助っ人」との共同作業
シロアリがセルロースを消化できる秘密は、お腹の中にいる小さな助っ人たちにあります。
シロアリの腸の中には、「セルラーゼ」という酵素を作る微生物がたくさん住んでいて、この微生物がセルロースをブドウ糖に分解してくれるんです。
これって、まるで体の中に小さな化学工場があるようなものですよね。
シロアリと微生物は「持ちつ持たれつ」の関係で、微生物は住む場所をもらい、シロアリは消化を手伝ってもらっているんです。
理由3:安定した食料確保ができるから
木って、枯れない限りはそこにずっとあるじゃないですか。
他の昆虫のように飛び回って花の蜜を探したり、動物を狩ったりする必要がないんです。
しかも、地球上には木がたくさんあるので、食料不足の心配がほとんどありません。
効率的で安定した食生活を手に入れたからこそ、シロアリは世界中に広がることができたんですね。
世界のシロアリ食事事情はどうなってる?
世界を見渡すと、シロアリの食事もかなり多様なんです。
オーストラリアには草を刈り取って貯蔵する「農業系シロアリ」がいたり、アフリカには巨大な蟻塚を作ってキノコを栽培する「キノコ農家シロアリ」もいます。
面白いのは、同じ木でもシロアリの好みがあること。
マツやモミなどの柔らかい木は大好物ですが、ヒノキやヒバなど香りの強い木はちょっと苦手なんです。
これは、香りの成分にシロアリが嫌がる物質が含まれているからなんですね。
でも、他に食べ物がなければ、嫌いな木でも食べてしまうのがシロアリの恐ろしいところです。
関連する面白い豆知識
豆知識1:シロアリは地球の掃除屋さん
シロアリって害虫のイメージが強いですが、実は地球環境にとってはとても大切な存在なんです。
枯れた木や落ち葉を分解して土に戻す「自然界の掃除屋さん」の役割を果たしているんですよ。
シロアリがいなかったら、森は枯れ木だらけになってしまうかもしれません。
豆知識2:木以外も食べちゃう
木が主食のシロアリですが、実は紙、段ボール、畳、さらにはプラスチックやコンクリートまで食べてしまうことがあるんです。
これは、木を探しているうちに間違って食べてしまったり、巣作りのために削ったりするからなんですね。
豆知識3:生きた木は基本的に食べない
健康な生きた木には、シロアリが嫌がる化学物質が含まれているので、基本的には食べません。でも、木が病気になったり弱ったりすると、その化学物質が少なくなって、シロアリに狙われやすくなるんです。まるで木にも免疫力があるみたいですね。
まとめ
シロアリが木を食べる理由は、木に含まれるセルロースをお腹の微生物と協力して消化し、安定した栄養源にしているからでした。
一見単純そうに見えるシロアリの食生活ですが、実は高度な共生システムと効率的な戦略が隠されていたんですね。
家にとっては厄介な存在のシロアリですが、自然界では重要な分解者として活躍している。
そう考えると、ちょっと見方が変わってきませんか?
ただし、大切な家は守らなければいけませんけどね。
そういえば、同じように効率的なシステムといえば、アリの行列作りにも面白い仕組みがあるんですよ。