敬語は相手を高める言葉、丁寧語は自分の言葉遣いを丁寧にする言葉で、使う目的が全く違います!
「『いらっしゃいませ』と『です・ます』って何が違うの?」
「敬語がうまく使えなくて恥ずかしい思いをした…」なんて経験ありませんか?
実は多くの日本人が混同している敬語と丁寧語の違いを理解すれば、ビジネスでも日常でも自信を持って話せるようになるんです。
この記事でわかること:
・敬語(尊敬語・謙譲語)と丁寧語の根本的な違い
・場面別の正しい使い分け方と具体例
・よくある間違いパターンと正しい表現方法
👉 3分でサクッと読めます!
標準語と方言の使い分けについて詳しく知りたい方は → [標準語と方言のコミュニケーション効果の違いとは?心理的効果と使い分けを解説]
敬語と丁寧語の基本概念【目的が全く違う3つの敬語】
尊敬語【相手を立てる敬語】
尊敬語は「相手の行動や状態」を高めて表現する言葉です。
「先生が来る」→「先生がいらっしゃる」のように、相手の動作に敬意を表します。
代表例:いらっしゃる(来る・行く・いる)、召し上がる(食べる・飲む)、ご覧になる(見る)、おっしゃる(言う)
謙譲語【自分を下げて相手を立てる敬語】
謙譲語は「自分の行動」をへりくだって表現することで、相対的に相手を高める言葉です。
「私が行く」→「私が伺う」のように、自分の動作を控えめに表現します。
代表例:伺う(行く・聞く)、申し上げる(言う)、拝見する(見る)、いただく(もらう・食べる・飲む)
丁寧語【言葉遣いを丁寧にする】
丁寧語は相手への敬意というより、自分の言葉遣いを丁寧にして品良く話すための表現です。「です・ます・である」調が基本で、相手が誰であっても使えます。
代表例:〜です、〜ます、〜であります、お〜、ご〜(お水、ご飯など)
使い分けの実践パターン【場面別の正しい選択】
ビジネスシーンでの使い分け【上司・取引先・部下】
上司に対して:
- ❌「課長が来ましたよ」→ ⭕「課長がいらっしゃいました」(尊敬語)
- ❌「資料を見ました」→ ⭕「資料を拝見いたしました」(謙譲語)
取引先に対して:
- ❌「弊社の田中が行きます」→ ⭕「弊社の田中が伺います」(謙譲語)
- ❌「お忙しいですか?」→ ⭕「お忙しくていらっしゃいますか?」(尊敬語)
部下に対して: 丁寧語中心で十分。過度な敬語は距離感を作ってしまいます。
接客・サービス業での使い分け【お客様への対応】
接客では尊敬語と丁寧語を組み合わせるのが基本。
お客様の行動は尊敬語、自分や店側の行動は謙譲語を使います。
- 「いらっしゃいませ」(尊敬語+丁寧語)
- 「少々お待ちください」(尊敬語)
- 「ご案内いたします」(謙譲語)
日常生活での使い分け【家族・友人・近所】
日常では丁寧語が中心。
敬語を使いすぎると堅苦しくなります。
- 家族:丁寧語不要(普通の話し方)
- 友人:軽い丁寧語(「〜だよね」「〜かな」)
- 近所・PTA:丁寧語中心(「〜です」「〜ます」)
よくある間違いパターン【こんな使い方はNG】
二重敬語【敬語の重ね掛けはかえって失礼】
❌「お客様がお見えになられました」
⭕「お客様がお見えになりました」または「お客様がいらっしゃいました」
「お見えになる」自体が尊敬語なので、さらに「〜れる」を付ける必要はありません。
謙譲語と尊敬語の混同【主語を間違えやすいパターン】
❌「部長が申されました」
⭕「部長がおっしゃいました」
「申す」は謙譲語なので、目上の人には使えません。
過剰な敬語【丁寧すぎて不自然】
❌「恐れ入りますが、お名前の方をお聞かせ願えればと存じます」
⭕「お名前をお聞かせください」
丁寧すぎる表現は、かえって相手に負担を感じさせます。
関西弁での敬語表現について詳しく知りたい方は → [標準語と関西弁の使い分けを完全解説!場面別・相手別の正しい選択方法]
世代・地域による違い【現代の敬語事情】
若い世代の敬語【簡略化の傾向】
20代以下では敬語を簡略化する傾向があり、「〜させていただく」を多用したり、「よろしかったでしょうか」のような過去形を使ったりする特徴があります。
関西圏の敬語【独特の表現パターン】
関西では「〜はる」という独特の尊敬語があります。
「先生が来はった」「お客さんが帰らはった」など、標準語の敬語とは違った親しみやすさがあります。
ビジネス敬語の進化【新しい表現の定着】
「お疲れ様です」「〜になります」など、本来の敬語ではないものが定着している例もあります。
時代とともに敬語も変化しているんです。
実践で覚える敬語変換【すぐ使える対応表】
基本動詞の三段活用【普通語→尊敬語→謙譲語】
- 来る → いらっしゃる/お越しになる → 伺う/参る
- 行く → いらっしゃる/おいでになる → 伺う/参る
- 見る → ご覧になる → 拝見する
- 言う → おっしゃる → 申し上げる/申す
- 食べる → 召し上がる → いただく
すぐ使える敬語フレーズ【場面別】
会議で:
- 「ご意見をお聞かせください」(尊敬語)
- 「資料をお配りします」(謙譲語)
電話で:
- 「恐れ入ります」(丁寧語)
- 「いかがいたしましょうか」(謙譲語)
まとめ【敬語は相手への思いやりの表現】
敬語と丁寧語の違いを理解すれば、相手との関係性に応じた適切なコミュニケーションができるようになります。
大切なのは「相手を思いやる気持ち」であって、完璧な敬語を使うことではありません。
間違いを恐れず、相手の立場に立って話すことから始めてみてください。
きっと自然で心地よいコミュニケーションができるようになるはずです!
関連記事
- 標準語と方言のコミュニケーション効果の違いとは?心理的効果と使い分けを解説
- 標準語と関西弁の使い分けを完全解説!場面別・相手別の正しい選択方法