敬語は尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類の総称で、丁寧語はその中の1つです。
つまり、丁寧語は敬語の一部なのです。
ビジネスメール、電話対応、上司との会話…「敬語を使って話す」と言われたとき、何をどう使えばいいのか迷いませんか?
「です・ます」だけで十分?「いらっしゃる」「申す」はどう違う?
実は敬語には明確な種類と使い分けのルールがあり、これを知るだけでコミュニケーションが格段にスムーズになります。
この記事でわかること
- 敬語の3分類(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の明確な違い
- それぞれの使い分けのルールと具体例
- よくある間違いと正しい使い方
所要時間:3分で読めます!
対象読者: ビジネスシーンで敬語を正しく使いたい方、日本語学習者、言葉遣いに自信を持ちたい方
この知識があれば、明日からの敬語使用に自信が持てるはずです。
そもそも敬語と丁寧語の関係とは?
敬語は「相手や話題の人物を敬う言葉遣い全般」を指し、丁寧語はその中で「です・ます調」を使う表現方法です。
ざっくり言うと、敬語は「大きな傘」、その下に尊敬語・謙譲語・丁寧語という「3つの小さな傘」があるイメージ。
丁寧語だけでは敬意が不十分な場面もあるのです。
なぜ敬語は3種類に分かれるのか?
尊敬語:相手の動作を高める
尊敬語は「相手や目上の人の動作・状態」を高めて表現する敬語です。
「先生が来る」→「先生がいらっしゃる」のように、主語が目上の人の場合に使います。
子どもに説明するなら、「すごい人のすることを、もっとすごそうに言う言葉」と言えるでしょう。
謙譲語:自分の動作を低める
謙譲語は「自分や身内の動作」を低めて表現し、相対的に相手を高める敬語です。
「私が行く」→「私が参る」のように、自分を下げることで相手への敬意を示します。
これは日本独特の「へりくだり」の文化から生まれた表現です。
丁寧語:話し方を丁寧にする
丁寧語は「です・ます」を使って、話し方そのものを丁寧にする敬語です。
誰が主語でも使え、最も基本的な敬語表現。
「雨が降る」→「雨が降ります」のように、聞き手への配慮を示します。
もっと知りたい!敬語の豆知識
「美化語」という第4の敬語?
文化庁の指針では、「お」「ご」をつける「美化語」も敬語の一種とされています。
「お水」「ご飯」などは、丁寧語の一種として分類されることも。
ただし「お見舞い」「お正月」のように、固定された言葉もあります。
二重敬語は間違い?
「お召し上がりになる」(尊敬語の重複)は二重敬語でNGです。
正しくは「召し上がる」または「お食べになる」。
ただし、慣用的に定着した「お伺いする」などは許容されています。
謙譲語にはIとIIがある?
文化庁の分類では、謙譲語I(相手を立てる)と謙譲語II(丁重語・話し手の品位を保つ)に分かれます。
「伺う」はI、「申す」はIIですが、日常会話ではそこまで意識しなくてOK。
敬語3分類の使い分け徹底比較
種類 | 目的 | 使う場面 | 具体例 |
---|---|---|---|
尊敬語 | 相手の動作を高める | 相手・目上の人が主語 | いらっしゃる、召し上がる、おっしゃる |
謙譲語 | 自分の動作を低める | 自分・身内が主語 | 伺う、申し上げる、拝見する |
丁寧語 | 話し方を丁寧にする | 誰が主語でもOK | です、ます、ございます |
判別ポイント | 主語が誰か | 主語の立場 | 「誰が」に注目 |
よくある動詞の敬語変換表
基本形 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
---|---|---|---|
行く | いらっしゃる | 伺う・参る | 行きます |
来る | いらっしゃる・おいでになる | 参る | 来ます |
言う | おっしゃる | 申す・申し上げる | 言います |
食べる | 召し上がる | いただく | 食べます |
見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
する | なさる | いたす | します |
いる | いらっしゃる | おる | います |
まとめ
覚えておきたいポイント
- 敬語=尊敬語+謙譲語+丁寧語の総称、丁寧語はその一部
- 尊敬語:相手を高める(いらっしゃる)/謙譲語:自分を低める(伺う)/丁寧語:丁寧に話す(です・ます)
- 「誰が」主語かで使い分けが決まる
この雑学は、ビジネスメールの作成や電話対応で即座に役立ちます。
「部長がおっしゃった」「私が申し上げた」と正しく使い分けられれば、社会人としての信頼度が上がります。
FAQ(よくある疑問)
Q1:「です・ます」だけで敬語として十分?
カジュアルな場面では十分ですが、ビジネスでは不十分な場合が多いです。
丁寧語だけでは敬意が弱いため、目上の人には尊敬語・謙譲語も併用すべき。
例:×「部長は今日来ますか?」→ ○「部長は本日いらっしゃいますか?」
Q2:「お~する」は尊敬語?謙譲語?
「お~する」は謙譲語、「お~になる」は尊敬語です。
例:「お送りする」(謙譲語・自分の動作)、「お読みになる」(尊敬語・相手の動作)。
この違いを間違えると意味が逆になるので要注意。
Q3:「させていただく」は正しい敬語?
相手の許可が必要な場合のみ正しい謙譲表現です。
過剰に使うと不自然。
○「お休みをいただき、欠席させていただきます」(許可あり)
×「資料を読ませていただきました」(不要)→「拝読しました」が適切。
Q4:英語で敬語の概念を説明すると?
Keigo (Japanese honorific language) has three types: sonkeigo (respectful language to elevate others), kenjogo (humble language to lower oneself), and teineigo (polite language using desu/masu). (敬語は3種類:他者を高める尊敬語、自分を低める謙譲語、です・ますの丁寧語)
Q5:方言と敬語は両立できる?
方言の敬語表現も存在し、地域によって独自の尊敬語・謙譲語があります。
例:関西弁「おる」は標準語では謙譲語ですが、関西では丁寧語として使用。
京都の「おいでやす」は尊敬語の一種。
方言話者は標準敬語との使い分けに苦労することも。
Q6:子どもに敬語を教えるタイミングは?
小学校低学年から「です・ます」の丁寧語、高学年で尊敬語・謙譲語の基礎を教えるのが理想的です。
ただし完全な習得は中学生以降が一般的。
例:「先生が言った」→「先生がおっしゃった」という変換は、小学3年生頃から理解できるようになります。