韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」のもととなった事件が、2004年に韓国の慶尚南道密陽市で起きた『密陽(みりゃん)女子中学生集団性暴行事件』です。
韓国映画「母なる復讐」のストーリーにも用いられている部分もあります。
今回は、韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」のもととなった事件『密陽(みりゃん)女子中学生集団性暴行事件』について調べました。
調べてわかったことは、事件の残虐さだけでなく、性暴力被害者に対する韓国社会の残忍さでした。
密陽(みりゃん)女子中学生集団性暴行事件とは?

2004年、韓国の慶尚南道密陽市で起きた3人の女子中学生に対する集団強姦事件。
被害者3名は、1年間にわたり密陽市にある3高校の高校生43人から、4人から10人の集団で性的暴行を受けるだけでなく、金品をも巻き上げられ続けた。
加害者らは被害中学生に、呼び出して来なければ、インターネットに性的暴行の事実を公開し、中学校にも噂を流し、両親に電話をすると脅迫した。
加害者である高校生43人は、2004年12月7日に拘束されたものの、誰1人として刑事処罰を受けていないという。
蔚山地検は少年ら20人を処罰の対象とし、その内10人を少年部に送致して事実上前科が残らないように配慮した。検察が正式に起訴した10人も、釜山地方家庭裁判所少年部に送致された。
結果的に、たった5人が少年院の保護処分を受けただけで、残りの学生たちは全員自宅に戻ったという。
その後、加害者たちはそれぞれの高校に在学し、校内で処罰を受けたのはうち1校の7人だけ。しかも、たった3日間の校内奉仕活動にとどまったという。
被害少女らは個人情報をインターネット上に流されたにもかかわらず、加害者は誰一人も刑事罰を受けることがなかったことから、「韓国社会における女性の人権意識の程度を象徴する事件」とされている。
密陽女子中学生集団性暴行事件のきっかけは?
密陽(みりゃん)女子中学生集団性暴行事件のきっかけは1本の間違い電話でした。
2004年1月、被害者となる14歳の女子中学生が女の子の友達に連絡を取ろうとして、携帯電話で密陽市の男子高校生に間違い電話をかけたことが始まり。
女子中学生は電話を切ろうとしたが、言葉巧みな甘い誘惑に、たんなる好奇心から会うことになったとか。
結局、間違い電話をかけた数日後に、1つ年下の妹と2つ年上のいとこの3人で密陽市に行って、男子高校生と会った。
その後、男子高校生は密陽市にある3高校から構成される不良集団「密陽連合」のリーダーに女子生徒3人を紹介した。
不良集団「密陽連合」のリーダーと不良集団約10人は、女子生徒3人を脅迫し、殴るなどして、簡易宿泊施設に連れ込み、そこで集団性暴行を行った。
その後、女子生徒3人の弱みを握った男子高校生らは、1カ月に数回女子生徒らに電話をかけた。
そして、もし来なければ「集団性暴行された事実の証拠となる写真、実名、自宅住所などをインターネット上に晒すと脅迫し続けた。
モーテル、公園、高校の敷地内など、さまざまな場所で集団性暴行を繰り返した。
密陽女子中学生集団性暴行事件の発覚は?
数回に及んだ集団による性的暴行では、無理矢理性具を使って集団で性暴行したため、後遺症で身体に異常をきたし、これまで産婦人科で治療を受けるなど、悪夢の日々を送っている。
2004年8月になると、精神的な苦痛に耐えかね、「死にたい」と睡眠剤20粒を服用し倒れ、昏睡状態に陥り、2日間眠りから覚めなかったこともあった。
こうした状況にある娘を見て耐えかねた被害中学生の母親が警察へ通報したことで事件が発覚した。
密陽女子中学生集団性暴行事件の被害者は姉妹
2004年12月7日、密陽連合所属の男子高校生41人の身柄を拘束し、主要容疑者17人に対して逮捕状を請求、他の容疑者ら24人を書類送検した。
2004年12月11日に強姦等の容疑で計12人に対し逮捕状を出している。
逮捕容疑は、男子高校生の集団が女子中学生2人を同様な手口で呼び出して、約20人で集団性暴行を加えた疑いだった。
他にも被害者がいないかを捜査したものの、被害中学生3人以外には見当たらなかった。被害者となった中学生のうち2人は姉妹、一緒に性的暴行を受けた女子中学生は妊娠してしまい自ら命を絶っています。
また、被害女子中学生らは被疑者の家族などから強姦事件に対しての脅迫を受けていたという証言を受け、追加捜査を行った。
密陽女子中学生集団性暴行事件の調査で更なる地獄へ
被害女子中学生にとって事件当時よりも、事件が世間に知られてから、加害者の男子生徒と向い合った瞬間が更なる地獄の始まりだった。
取り調べでは「41人の男子生徒を立たせて、名前を呼べば指で誰なのか、指しなさいと言われたんです」
男性の警察官は、性暴行を受けた当時の状況を詳しく質問するのはまだいい方だったが、一人ひとりと対面させては「入れたか、入れなかったか」と聞いたこともあったという。
検察側の捜査もあまり変わりなく、警察捜査が不備だという理由で、女子中学生は3日間、検察で調査を受けたこともあったとか。近くで見守った母親も辛くなるほどの状況だったという。
被害中学生は「一度や二度性暴行されたものではないため、調査が始まれば4~5時間はかかりました。見守る私も大変だったのだから、本人は言うまでもありません」と母親。
女子中学生は「犯罪者を尋問するかのように根ほり葉ほり聞くし、むしろ加害者の肩を持つようで本当に嫌だった」と話した。
あまりにも疲れたため、適当に答えていると「妹と口を合わせたんじゃないか」という質問が返って来たこともあったという。
「他の子たちは暴行されなかったのに、どうしてあなただけ暴行されたと思うか」
「(他の用事があり、密陽に言ってきたと言うと)私なら一度そういうことをされたら、二度と密陽は見向きもしたくなくなると思うのだが、なぜまた行ったのか」という質問までされたという。
密陽女子中学生集団性暴行事件で見えた残忍な韓国社会の対応
密陽女子中学生集団性暴行事件で見えたきたのは、日本では考えられないくらい、性被害者に対する残忍な韓国社会の対応だった。
父親と加害者の両親が求める和解金に合意
2005年3月、心的外傷後ストレス障害、鬱病、パニック障害、不安障害、摂食障害などの精神科治療を受けて続けていた彼女を訪ねて、被害中学生の父親と加害者の両親が金で和解を求めて合意書の承諾を要求してきた。
加害者の両親が毎日朝晩彼女のもとにやってきて合意書にサインを要求し、彼女の親戚からも書いてやれと言われ続けた。
被害中学生は「合意する考えはなかったが、おばや父に合意しなさいと言われた。加害者は憎かったが貧しさから逃れたくて合意した。加害者を許したはずなのに後からあざ笑われたようで、開いた口がふさがらなかった。加害者の親も急に態度が変わった。時間を戻せるなら合意なんか絶対にしない」と述べたという。
賠償金は父親と親族が山分け
父親は賠償金5000万ウォンを受け取って、1500万ウォンで家を借り、残金は彼女に合意を勧めた親戚達と山分けしたという。
本当であれば被害中学生の入院治療がまだまだ必要だったが、父親の意志で退院させられたことになったという。
結果的に、被害中学生は世の中に利用されただけでなく、誰からも保護してもらえなかったことになった。
性暴力被害者の転入を躊躇する学校
事件後、韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」の主人公として描かれた被害中学生はソウルで受け入れてくれる学校がなく、1カ月ほど学校に通えなかった。
理由は、捜査と治療により、元の学校で学期当初に欠席が多かったためとされ、転校を要請してもいつも門前払いだった。
しかし本当の理由は「問題があった生徒は受け入れないことにしている。深刻な病気にかかっているとか、社会的に問題を起こしたケースがある場合は転入をためらう」ということだった。
結局、弁護士の力を借りてソウルのある公立高校に転校できた。
ここから先は韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」で描かれている。
加害高校生の母親が減刑の嘆願書を被害中学生に直談判
韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」で描かれているように、転校して1カ月足らずで、ある加害者の母親が転校先の学校を訪れた。
そして「息子の少年院での処罰を減刑するために嘆願書を書いてほしい」とトイレにまで執拗に付きまとった。
結果的に、転校先でも性暴行の被害者という事実を知られてしまった被害中学生はそのショックで休学し、電話番号を変えて再び引越した。
また、ひどいうつ病も再発し、嘔吐するまで食べる摂食障害の症状も出るようになった。
結局、被害中学生は誰にも言わずに家出してしまったと母親。一方で加害者の高校生たちは1人も刑事処罰を受けていないという。
性暴力被害者は居場所がなくなり家出、加害高校生には処罰も前科もなし
密陽女子中学生集団暴行事件の結末は、被害者は居場所がなくなり家出、加害高校生には処罰なしだけでなく、前科も付かないまま社会に出ているという恐ろしいものだった。
加害高校生ら20人を処罰の対象とし、その内10人を送致して事実上前科が残らないように配慮したのだった。また検察が正式に起訴した10人も、釜山地方家庭裁判所少年部に送致された。
結局5人が少年院の保護処分を受けただけで、残りの学生たちは全員自宅に戻ったという。
その後、加害高校生たちは3つの高校に在学し続け、学内で処罰を受けたのはそのうち1校の7人で、たった3日間の校内奉仕活動にとどまったという。
密陽女子中学生集団性暴行事件のまとめ
韓国社会では、性的暴行の加害者は何の変わりもなく普段の社会生活を送り、被害を受けた被害者だけがまた別の被害を受けるケースが多いという。
韓国は性犯罪を犯しても堂々と生きていける国であり、密陽女子中学生集団性暴行事件での女子中学生に対する性暴行事件の結末が韓国の性犯罪者の天国という言葉を物語っているとも言えます。
韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」での結末に関してはさまざまな見方がありますが、現実での被害者は今でも一生懸命生きているそうです。
日本で起きたら刑罰なし、前科なしでは済まされない、残忍極まりない密陽女子中学生集団性暴行事件をベースにした韓国映画「ハン・ゴンジュ17歳の涙」、1度見てみてはいかがでしょうか。
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