「マルティニークからの祈り」は2013年公開の韓国映画で、実話が元ネタとなっています。
何の罪もない普通の主婦の身に降りかかった、あまりに不幸な事件によって、壊れていく様子を描いているので、体調のいいときに見るのがいいですよ。
今回は、韓国映画「マルティニークからの祈り」の元ネタとなった実話、チャン・ミジョン事件について解説しながら、キャスト、あらすじ、ネタバレ含む感想を紹介します。
「マルティニークからの祈り」は実話!元ネタのチャン・ミジョン事件とは?
言葉も通じない異国の地で、騙され、身に覚えのない罪で投獄された平凡な主婦チャン・ミジョンが、家族のもとへ帰るために苦闘した1人の女性の実体験と妻を救うために切実に世の中に訴える夫の約2年間を描いた実話。
2004年、韓国の自動車修理工場を営む夫婦の夫が、友人の借金の保証人になってすぐに、その友人が自殺。
その借金の返済のため、貧しい生活のため、生活費のたしになればと、南米からフランスまで「金の原石」を運ぶ仕事を引き受けていた。
しかし、本当に運んでいたものは「金の原石」ではなく、麻薬だった。
騙されていたというものの、異国の地で言葉が分からず、弁解の余地も与えられないまま、フランスの海外領でカリブ海に浮かぶマルティニークの刑務所へ収監されてしまう。
韓国政府の支援どころか、裁判すら受けられないまま、パリやマルティニーク島で、2年以上もの間、家族と引き離された主婦チャン・ミジョンの実話を映画化しています。
「マルティニークからの祈り」の主なキャスト
ジョンヨン役/チョン・ドヨン
韓国の女優、1973年生まれ
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主な出演作品
韓国ドラマ
- われらの天国
- 恋の香り
- 総合病院
- 愛はブルー
- 別れの6段階
韓国映画
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ジョンベ役/コ・ス
韓国の俳優、1978年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- 胸部外科
- コッパダン 〜恋する仲人〜
- マネーゲーム
- ミッシング~彼らがいた~
- ミッシング~彼らがいた~2
韓国映画
- 妙香山館
- ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女
- ルシッドドリーム/明晰夢
- 復讐のトリック
- 天命の城
ヘリン役/カン・ジウ
韓国の俳優、2008年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- ボイス3
- The Second Husband
- 智異山
- 静けさの海
- 朝鮮精神科医ユ・セプン
韓国映画
- 泣く男
- 男と女
チョ課長役/ペ・ソンウ
韓国の俳優、年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- ガラスの監獄
- 恋愛操作団: シラノ
- 幽霊が見える刑事チョヨン
- ライブ〜君こそが生きる理由〜
- 熱血弁護士 パク・テヨン 〜飛べ、小川の竜〜
韓国映画
- ザ・キング
- スウィンダラーズ
- 安市城 グレート・バトル
- メタモルフォーゼ/変身
- 藁にもすがる獣たち
ヘルボイ役/コリンヌ・マシエロ
フランスの女優
主な出演作品
韓国映画
- デリート・ヒストリー
- ママはレスリング・クイーン
- 君と歩く世界
- アムール、愛の法廷
- 11.6 最強の現金強奪犯
「マルティニークからの祈り」のあらすじ
韓国に暮らす主婦のジョンヨンは、夫と一人娘の3人で平凡ですが、幸せな家庭を築いて暮らしていました。
夫の友人が借金を抱えていると知り、夫が連帯保証人になりましたが、友人が自殺し、いつの間にか借金は多額になっていました。
夫は金になる仕事を探していましたが、悪友から「金の原石」をフランスまで運ぶという仕事を聞き、ジョンヨンは夫に変わり引き受け、フランスへ行ってしまいました。
フランスの空港についてすぐ、ジョンヨンは麻薬密輸容疑で逮捕され、拘置所行きになり、カリブのマルティニーク島に移送され収監されました。
刑務所には暴力と性的虐待が蔓延しており、ジョンヨンは刑務所から逃げ出したので、罰として独房に拘束されました。
しかし、夫と娘に逢いたいという希望を失わず、面会で夫に泣き崩れ、彼女は夫から送られた娘の写真を抱きしめて眠りました。
それ以降も、ジョンヨンはマルティニーク島の刑務所に収監され、大使館に助けを求めますが、大使館は非協力的で刑務所で1年間過ごすことを余儀なくされたのです。
一方、夫は彼女を救うために奔走しますが、全く相手にされず、やがてメディアによって政府や警察、大使館の問題が明るみに出ました。
ジョンヨンは仮釈放されましたが、裁判が行われる気配は全くなく、ジョンヨンと夫の苦悩が続きました。
ジョンヨンがフランスで逮捕された後も、夫は奔走しますが、大使館からは無視され続けました。
メディアの取材で政府や警察、大使館の手落ちが明るみに出ましたが、ジョンヨンは2年間勾留され、正式な裁判が開始されました。
ジョンヨンが運び屋として麻薬を運んだことで逮捕されましたが、ようやく大使館の棚に紛失されていた資料が届けられたことから、裁判が始まりました。
ジョンヨンがフランスに来た2年前、フランス語が話せなかったのが、少しは話せるようになり、裁判でも自分の思いを話すことができました。
ジョンヨンは家族に対して罪悪感を持ってしまい、祖国に帰って罪を償いたいと願い、裁判が終わると彼女は韓国に帰国し、家族と喜びの再会をしました。
夫が家族写真を撮ろうとしたその時、韓国大使館から1年の刑期を言い渡されるという電話がありましたが、夫は怒って電話を切り、家族は再び笑顔で写真を撮りました。
「マルティニークからの祈り」のネタバレ含む感想
チャン・ミジョン事件という実話を元にしているので、多少の脚色はあると思いますが、韓国大使館の対応と、政府の対応は本当にひどいです。
多額の借金の保証人になり、 騙されて結果的に麻薬の運び屋になったとはいえ、詳細を調べもせずに「韓国の恥」と考えて何も対応しなかったのは本当に怠慢だと思いました。
一番ムカついたのは、韓国人がフランスにいるにもかかわらず 通訳を探すこともしないで、議員さんたちが来た時のフランス料理の心配をしていたことです。
自国の国民が被害にあって困っているのに何もしないというのは、本当に怠慢としか言いようがありません。
それにしても、騙されて犯罪を犯した人間は、警察に捕まっても自業自得なのでしょうか?
韓国は、儒教の国で古い考えがあるのかもしれませんが、大使館側にしてみれば、初めての外国での麻薬の運び屋が出たということで「自国の恥」と思ったのも分かります。
それにしても、ちゃんと調べて裁判をするのに、通訳をつけるぐらいできたでしょうに・・・。
仮に、犯罪に巻き込まれて自分が陥れられた時、自国の大使館が守ってくれないということがあるのを実感し、とても恐ろしくなりました。
この韓国映画「マルティニークからの祈り」のインタビューの時、主役のチョン・ドヨンが言うように、「マルティニークからの祈り」
はミステリーではなく家族愛の物語だと思いました。
あそこまで 旦那さんが、奥さんのことを思い、汚名を晴らすために奔走してくれたのはとても感動しました。
それに反応して、世論が動いて裁判を起こすことになり、騙されて運び屋になったことが証明できて本当に良かったと思います。
韓国の映画は、後味が悪い、いわゆる韓国ノワールと呼ばれるものが多いのですが、映画がきっかけで世論を動かし犯罪の再調査ができたことが多く、本当にその点ではまだ救いようのある国だなと思います。
「マルティニークからの祈り」のみどころ
韓国映画「マルティニークからの祈り」のみどころは、騙されて犯罪を犯した人間に対しての政府、大使館、警察のサポートがとても冷たかったということです。
体調が悪いとき、気分が優れないときは本当に観てはいけないくらいに、胸糞悪くなります。
主人公の主婦は、主犯者でなく犯罪に巻き込まれた被害者です。
今でこそ、空港まで品物を運ぶことは、麻薬などの運び屋にさせられるということで回避しようと思いますが、あまり情報のない頃にはそれもできなかったと思います。
そういう点で情報を持っていなかったということは、主人公の無知も否定できませんが、儒教の国、韓国の大使館が1人の国民を見捨てようとしたことに考えさせられました。
また、夫婦のあり方も考えられました。
いろいろな揉め事があると、すぐに離婚しようとする夫婦が多い中、主人公夫婦の絆が深く、夫が妻の罪を軽くするために奔走する姿には本当に感動しました。
主人公が娘の写真を持って刑務所のベッドに寝ていたシーンや、夫がマルティニーク島に来たとき、意地悪なことを言ったシーンなど、チャン・ミジョンさんが自分自身かと勘違いするほどだったという、チョン・ドヨンの名演技も観る価値がありますよ。
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