韓国映画「母なる証明」は、2009年公開の韓国映画で、当時ウォン・ビンが兵役から復帰して5年ぶりの映画ということもあり大変話題になりました。
韓国国民の母キム・ヘジャとの共演で話題になったポン・ジュノ作品で、知的障害の息子と母親の物語です。
息子が殺人の容疑者となって無実を証明するために母親は奔走しますが…。
韓国映画「母なる証明」は第62回カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映され、第30回青龍賞最優秀作品賞、第46回大鐘賞最優秀助演男優賞(チン・グ)を受賞しました。
今回は韓国映画「母なる証明」は怖い映画、息子は知的障害ではないのか、あらすじ、ネタバレ含む感想、見どころ、キャストを紹介します。
「母なる証明」怖い!知的障害ではない!?あらすじ
商店街で漢方薬を営んでいる母(キム・ヘジャ)は、28歳になる知的障害のトジュン(ウォン・ビン)という息子がいます。
母はトジュンを溺愛していて、通りの向こうで犬と戯れている姿に一時も目を離さず、薬草を切る刃物で自分の指を切ってしまうほどでした。
その時、大学教授のベンツにトジュンが轢かれてしまい、側にいた悪友のジンテと一緒に「金持ちといえばゴルフ場だ!」といい、ゴルフ場まで行って轢かれた車を探しました。
その時に、トジュンはゴルフボールを拾っていて、ジンテ(チン・グ)は勢いで、大学教授の車のサイドミラーを壊してしまいました。
ジンテは、警察でトジュン記憶が曖昧なのを利用して、サイドミラーを壊したのはトジュンだと言い、トジュンは、ゴルフ場で拾ったゴルフボールに名前を書きました。
結局、母親がそのお金を大学教授に弁償することになり、借金をして支払いました。
それ以降、母は、トジュンに「ジンテと付き合うのをやめよう」と言います。
しかし、ある日、スナックでジンテを待っていても来ないので、帰り道に女子高生を見かけ、ついて行きました。
始めはトジュンを無視していたアジョンという女子校生(ムン・ヒラ)でしたが、トジュンがしつこく追いかけてくるので、カッとなって石を投げつけました。
トジュンはそのあと家に帰り、ベッドに入り母の隣で寝ました。
翌日、アジョンが死んでいて、トジュンの名前が書いたゴルフボールが決め手となって、トジュンが警察に逮捕されました。
動揺した母親は、警察にも弁護士にも信じてもらえず、独自で探す犯人を探そうと思い奔走します。
ついに、アジョンの周辺から少女の携帯に写っているのが、犯人かもしれないという情報を得て、アジョンの認知症の祖母からその携帯を手に入れます。
母は携帯の写真から、トジュンから廃品回収の老人を見たことがあると聞き、その老人に探りを入れに行きます。
すると老人は、トジュンがアジョンを殺害する瞬間を見たと言いました。
その事実を知った母は、逆上して老人を何度も殴り、撲殺してしまい、我に返った母は証拠隠滅のため、老人もろとも家ごと燃やしてしまいました。
それからしばらくして母が薬草を切っていると、ジェムン刑事(ユン・ジェムン)がやってきて真犯人が見つかったというのです。
その男のシャツについていた、少女の血が逮捕の決め手となりました。
母はそのシャツについた血は少女の鼻血と知っていましたが、息子のために黙ることにして、刑事に真犯人に合わせてほしいと頼み、面会に行きました。
母は泣きながら、真犯人とされたジョンパルに「家族はいるの?」と聞くと、ジョンパルには家族がいないと言いました。
それからすぐにトジュンは釈放され、ジンテと彼女が車で迎えに来てくれました。
帰る途中で、廃品回収の老人が住んでいた家の焼け跡が見えたので、そこで降りると、母の使っている鍼治療の缶が見つかり、トジュンはそれを持ち帰りました。
2人の日常が戻り、朝食を食べていた時に、なぜ犯人は少女を殺した後でビルの上につり上げたかということを自分なりに考えたというのです。
母はそれがトジュンの考えたことだと思いました。
しばらくして商店街のバス旅行があり、その待合室に2人で座っていると、トジュンが鍼治療の缶を出してきて「これが廃品回収の焼け跡に落ちていた。」と言いました。
息子に「落としてきたら駄目だ」とたしなめられた母は驚きました。
自分は息子のことを知的障害者と思っていたのに、長い間、騙されてきた…そのために殺人までしてしまってことに酷くショックを受けました。
母は、旅行に行くバスの中で、呆然としながら針治療の道具を出して自分の足の忘却のツボに鍼を刺し、母は何もかも忘れたようにバスの中で踊り続けました。
「母なる証明」怖い!知的障害ではない!?ネタバレ含む感想

今まで、ポン・ジュノ監督のいろんな作品を見ていますが、どの作品にも、貧困問題が背景にあります。
その中でも韓国映画「母なる証明」ではその貧困問題がよく見えていて、トジュンもアジョンも貧困であるがゆえに罪に手を染めていると感じます。
アジョンと祖母の2人の暮らしは、病院にも行けないほどで、アジョンは援交で生活を支えていました。
また、トジュン一家は、母が息子の無実の訴えを誰も聞いてくれず、唯一、ずるいところもあるジンテだけが友達のためだと言って色々と調べて、助けてくれました。
初めに映画をみる前は、無実の罪で警察に捕まった息子のために奔走する母親の感動の姿を描いた映画と思っていましたが、次第に本当は怖い映画なのだと思いました。
事件の夜、殺害現場を老人に見られたかもしれないと思い、トジュンは、母親を刑務所に呼びつけます。
そして、老人を殺すように仕向けるだけでなく、結果的に無実の人に罪を擦り付けたことです。
私が思うには、トジュンは知的障害者を装っていない、知的障害者なのだと思います。
というのも、トジュンが知的障害者でなかったなら、自分がやった罪を認めて印鑑を押すのかということと、人を殺すとどうなるかが、わかると思うからです。
おそらく、知的障害者といわれる障害の原因は、親子心中した時に飲まされた農薬の後遺症なのではないかと思います。
結果的に、理解していないところとハッキリと理解していることがあるのかもしれません。
いずれにせよ、邪魔な人間を母に殺させ、罪のない人に罪をなすりつけたことは、本人に自覚があるかどうかはわかりませんが、とても恐ろしいことで後味が悪い韓国映画「母なる証明」でした。
「母なる証明」怖い!知的障害ではない!?みどころ
韓国映画「母なる証明」はウォン・ビンの芸の幅の広さをとても感じ、兵役からの復帰で5年ぶりの演技とは思えませんでした。
私も何人か知的障害の人を知っていますが、演じたというよりも一緒に暮らして観察したのかなと思う程、知的障害者そのものになっていたと思います。
最初、トジュンが捕まった時に、母がトジュンの無実の罪を晴らそうと思い、奔走する場面はとても感動しました。
でも、息子の事実を知った時に、やり場のない悲しみを見せた母の姿に、こちらもとてもつらく悲しい気持ちになりました。
最後の場面で、息子が、母の持っていた鍼治療の缶を焼け跡から持ってきて「落としたらダメだ」とたしなめる姿に、心底ぞっとし、本当に知的障害者だったのか…?と思いました。
「母なる証明」怖い!知的障害ではない!?キャスト
母親役/キム・ヘジャ
韓国の女優、1941年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- 新婦日記
- あなた
- 幸福を売ります
- 砂の城
- 母さんに角が生えた
韓国映画
- マヨネーズ
- 韓景職
- 晩秋
- 犬を盗む最適な方法
息子・トジュン役/ウォン・ビン
韓国の俳優、1977年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- クァンキ
- ドラマシティ – 彼が簡易役で降りた
- コッチ
- 秋の童話
- 日韓共同制作ドラマ「フレンズ」
韓国映画
【関連記事】「アジョシ」の意味は?韓国映画のキャスト・あらすじ・ネタバレ含む感想も
ジンテ役/チン・グ
韓国の俳優、1980年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- ハイクラス〜私の1円の愛〜
- アンタッチャブル
- ミスター・サンシャイン
- リーガル・ハイ
- 刑事ロク 最後の心理戦
韓国映画
- ポイントブランク ~標的にされた男~
- バトル・オーシャン 海上決戦
- セシボン
- ワンライン
- 僕にはとても大切な君
ジェムン刑事役/ユン・ジェムン
韓国の俳優、1970年生まれ
主な出演作品
韓国ドラマ
- キング~Two Hearts
- 根の深い木
- マイダス
- アイリス
- 総合病院2
韓国映画
- 福岡
- 22年目の記憶
- ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女
- 少女は悪魔を待ちわびて
- アシュラ
【関連記事】「アシュラ」韓国映画のキャスト・あらすじ・ネタバレ含む感想。視聴注意作品
アジョン役/ムン・ヒラ
韓国の女優、1990年生まれ
主な出演作品
韓国映画
- グエムル 漢江の怪物
- 彼女が歌う
コメント